家族の加入について
健康保険では、被保険者だけでなく、被保険者に扶養されている家族にも保険給付を行います。この家族のことを「被扶養者」といいます。被扶養者として認定されるためには、「国内居住」のうえ、「家族の範囲」と「収入」について一定の条件を満たしている必要があります。
- 被扶養者となるためには、健康保険組合の認定を受けなければなりません。
- 生計維持関係や収入状況など総合的に判断し認定可否を決定していますので、条件を満たしていても申請すれば必ず認定されるというものではありません。
- 被扶養者の異動があった場合は、5日以内に届出をしてください。
家族の範囲
被扶養者となれる家族の範囲は、法律で決められています。さらに、同居・別居により、条件が異なります。
被保険者と同居でも別居でもよい人
- 配偶者(内縁でもよい)
- 子、孫
- 兄弟姉妹
- 父母など直系尊属
被保険者と同居が条件の人
- 上記以外の三親等内の親族
- 被保険者の内縁の配偶者の父母および子
- 内縁の配偶者死亡後の父母および子

収入の基準
被扶養者となるためには、「主として被保険者の収入によって生活していること」が必要で、同居・別居の有無、年間収入等により総合的に判断されます。
- ※基準額を満たしていても、扶養能力および対象者への扶養の必要性がないと判断された場合など、認定されない場合もあります。
年間収入とは
被扶養者資格の収入要件に「年収が130万円未満(60歳以上、障害年金受給者は180万円未満)」とする健康保険法上の基準があります。ここでいう「年収」とは、1月~12月や4月~3月という決まった期間のことではなく、現時点から今後1年間の収入見込額です。
また、対象者の収入すべてが対象となりますので、税法上非課税となる収入も年収として計算に含まれます。(遺族年金や失業給付等)
同居している場合
対象者の年収が130万円(60歳以上または障害年金受給者は180万円)未満で、被保険者の収入の2分の1未満であること
60歳未満の家族を扶養者として申請する場合(例)

別居している場合
対象者の年収が130万円(60歳以上または障害年金受給者は180万円)未満で、かつ、その額が被保険者からの仕送額より少ないこと
- ※基準額を満たしていても、認定対象者に収入があり、被保険者が仕送りを行った結果、被保険者の収入と認定対象者の収入(認定対象者自身の収入+仕送額)とがアンバランスな状態となった場合などは扶養しているとは言い難い状況であると判断する場合があります。
60歳以上の家族を扶養者として申請する場合(例)

例1 | 例2 | 例3 | |
---|---|---|---|
被保険者の年収 | 600万円 | 600万円 | 600万円 |
仕送額 | 125万円 | 60万円 | 120万円 |
申請する家族の年収 | 給与60万円 年金60万円 合計(年収)120万円 |
給与60万円 年金60万円 合計(年収)120万円 |
給与100万円 年金90万円 合計(年収)190万円 |
認定 | 可能性あり | 可能性なし | 可能性なし |
収入状況 | 〇180万円未満 〇被保険者の仕送額未満 |
〇180万円未満 ×被保険者の仕送額未満 |
×180万円未満 ×被保険者の仕送額未満 |
被扶養者資格確認チャート
被扶養者認定を申請する前に、申請する家族に資格があるかどうかご自身でチェックしてみてください。
夫婦共同扶養(夫婦共働き)について
夫婦ともに収入があり、子供を扶養する場合、厚生労働省の通知に基づき以下の通り取り扱います。
- 被扶養者の数にかかわらず、被保険者の年間収入が多いほうの被扶養者とする。
- 夫婦の年間収入の差額が年間収入の多いほうの1割以内である場合は、届出により、主たる生計維持者の被扶養者とする。
- 主として生計を維持する者が育児休業等を取得した場合、当該休業期間中は、被扶養者の地位安定の観点から特例的に被扶養者を異動しないこととする。(新たに誕生した子については、改めて認定手続きを行うこととする。)
「年収の壁」に対する政府の施策について(2023年10月より)
- 参考リンク
「年収の壁」とは
「年収の壁」とは、税金や社会保険料が発生する基準となる年収額のことです。
健康保険等の被扶養者がパートタイマー等で働き、年収が一定以上になると、被扶養者ではいられなくなり、健康保険や国民健康保険等の被保険者となりますが、そうなると社会保険料の負担が発生して、結果として手取り収入が減少する場合があります。
社会保険における「年収の壁」は、企業規模の違い等により、年収106万円と年収130万円の2つがあります。
(出典:「年収の壁」への当面の対応策(厚生労働省))
年収106万円の壁 | 従業員51人以上の企業、賃金月額88,000円以上(年収:約106万円以上)等、一定の条件を満たす場合は、社会保険料が発生。 |
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年収130万円(※)の壁 | 被扶養者の認定基準を満たさなくなるため、条件を問わず、社会保険料が発生。 |
- ※60歳以上または障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者は180万円
年収130万円の壁に対する対応
被扶養者認定は前年の課税証明書等の確認で行われていますが、人手不足による労働時間延長等に伴い一時的に年収が130万円以上となる場合は、事業主の証明を添付することにより、収入見込額が130万円以上であっても、引き続き被扶養者の認定を受けることができるようになります。
(同一の者について原則として連続2回までを上限とします)
年収106万円の壁に対する対応
社会保険適用促進手当(※)の支給等、労働者の収入を増加させる支援を行った企業に対して一定期間助成が行われます。
※社会保険適用促進手当
短時間労働者への被用者保険の適用を促進するため、非適用の労働者が新たに適用となった場合、当該労働者の保険料負担を軽減するために支給することができる手当です。
社会保険適用促進手当は、給与・賞与とは別に支給するものとし、保険料算定の基礎となる標準報酬月額・標準賞与額の算定対象に考慮しないこととされます。
- ※対象者:標準報酬月額が10.4万円以下の方。
- ※報酬から除外する手当の上限額:被用者保険適用に伴い新たに発生した本人負担分の保険料相当額。
- ※最大2年間の措置。
被扶養者認定における国内居住要件の追加について
2020年4月より、健康保険の被扶養者認定の要件に、国内居住要件が追加されました。日本国内に住所を有していない場合、2020年4月1日以降は、原則として被扶養者の認定はされません。(海外留学等、一定の例外あり)
国内居住要件の考え方について
住民基本台帳に住民登録されているかどうか(住民票があるかどうか)で判断し、住民票が日本国内にある方は原則、国内居住要件を満たすものとされます。
- ※住民票が日本国内にあっても、海外で就労している等、明らかに日本での居住実態がないことが判明した場合は、国内居住要件を満たさないと判断されます。
国内居住要件の例外
外国に一時的に留学している学生等、海外居住であっても日本国内に生活の基礎があると認められる場合は、例外として国内居住要件を満たすこととされます。
【国内居住要件の例外となる場合】
- ① 外国において留学をする学生
- ② 外国に赴任する被保険者に同行する者
- ③ 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者
- ④ 被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者
- ⑤ ①から④までに掲げるもののほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者
国内居住者であっても、被扶養者と認められない場合
医療滞在ビザで来日した方、観光・保養を目的としたロングステイビザで来日した方については、国内居住であっても被扶養者として認定されません。
経過措置について
国内居住要件の追加により被扶養者資格を喪失する方が、施行日(2020年4月1日)時点で国内の医療機関に入院している場合、経過措置として、入院期間中は資格が継続されます。
被扶養者の異動(変更)があったら
結婚や出産等により被扶養者が増えたときや、就職や別居、死亡等で、それまで被扶養者に認定されていた家族が被扶養者の認定基準を満たさなくなった場合は手続きが必要です。なお、当健康保険組合では毎年、被扶養者の資格を確認するため被扶養者資格調査(検認)を行っています。
被扶養者認定についての留意点
- 扶養申請の内容に虚偽・事実と相違した内容を記載等、不正申告し認定された場合は、健康保険法に基づき認定日に遡って給付額の全額または一部を請求します。
- 扶養申請の際、主に必要な添付書類を申請書、HPに提示しておりますが、ケースによっては別の書類を追加でご提出いただく場合があります。
- 一度認定された被扶養者でも、収入や生活状況の変化により認定基準を満たさなくなる場合があります。健康保険組合では厚生労働省の指導に基づき被扶養者の資格確認(被扶養者資格調査)を定期的に実施し、被扶養者の基準を満たしているのかを確認します。その際、送金証明や給与明細など扶養申請時と同様に書類をご提出いただきますので大切に保管してください。被扶養者資格調査についてはこちらから